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801魂の修行中。
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1、好きな人が出来たんでしょ。そういうのは案外聡い自分が本当に嫌になる。この人の俺への愛は本当にわかりやすいので、そのベクトルが俺に向かなくなった時点ですぐ気づいてしまった。

2、今更ながらに出会いを思い出してみる。あの時俺はどう思ったんだっけ。確か出会いすら酔っていたような気がする。そしていつから友達になって、いつからこういう関係になったのかもう覚えていない。音楽の話がビックリするくらい合って、地元だからなんか親近感沸いて、俺その頃バンドが嫌だったのにこの人となら組みたいってそう思ったんだ。ライブにきてくれて、一緒にお酒呑んで語り合って一緒にやりたくて。ああそんな気持ちどこに置いてきちゃったんだろう。

3、別れを告げるべきか、いや多分明日にでもそういう話になるだろう。そういうところはきっちりしている彼のことだ。いわば仕事と趣味が一緒だったのに、これからはどうしたらいいんだろう。冷静に考えている自分は本当に彼のことが好きなのか、それすら疑問に思ってきた。あ、笑ってる。
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間接照明も消すと、カーテンの色のせいかその部屋はキレイなネイビーブルーになった。
意外と明るい都会であることを否応なく納得させられて、その場にいる自分が少し浮遊したように感じる。ここどこ。車のクラクションがひとつ鳴った。こんな時間に何に文句を言うって言うのかわいそうなひと。勝手な想像で笑おうとして、息を吸い込んだらむせた。生理的な涙がにじんで何だか本当に悲しくなった。何だこれ。
ほんの少し前、やっぱりもう大人だから泣きじゃくって喚いてなんて出来なかった。どこかいつも諦めてしまう自分。いつも好きな人にはふられることが多い。また置いていかれた。相手に対する罵り言葉の次は、自分に対する反省が怒涛のようにやってきて、最後にはどちらも選べない自分はじっと耐えるだけしか出来なくなる。しょうがないのでタバコに火をつけた。ボーカルなんだから少しは気をつかうように言ってくれたのも彼であったが、もうこの際どうだっていいだろう。きっと明日からも平穏な日々が始まるのだ。大丈夫。カーテンを開けるとやはり明るい外の景色。ベランダに出る。もっと真っ黒なら良かったのに、紺色より明るい夜空。どこかに同じような人でもいないかと、向かいのマンションのベランダを眺める。もちろん誰もいない。だってもうこんな時間だもの。
闇の色だったか彼のポロシャツの色だったか思い出すと必ずその色、紺より少し鮮やかなネイビーブルー。それが赤く染まるまで、今日はここにいようと思った。
あーやばいーどうして飲み屋でこんなおっさんに絡まれたてるんだろ俺…いやいや確かに俺ドア勢いよく開けましたけどそんな転ぶこと無いじゃないあなたこそ酔ってたんだからそこは無礼講っていうか許してほしいところなんですけど。おっさんだと思ってたけどこの人実は俺と大して年齢差無いのかなそれも嫌な感じだな。勝手に転んでクリーニング代どうとか転んだ時手をついたとか、もう面倒くさくて謝って行こうと思ったらなんか俺の尻触ったんですけど何この展開あれ?おじさんそんなどっかで見たことあるような会社の社章を背広の胸元に付けたままそんなことしていいの後悔するのはどうしたってあなただと思いますよと言ったんだけど全然聞こえてないっぽい。あー打ち上げって始まるの遅いから、既に店には酔っ払いがたくさんいるわけで。もう少し遅かったら俺だって飲んで騒いでおじさんごめんね★とか言っちゃって尻くらいもませてやったかもしれないけど…って何この思想!なかちゃんとか助けに来ないかなーあーダメかもあの人お金払うタイプだないやいやかっこよくぶっ飛ばしてくれるかな…あーいきなり殴りつけたりしたらバンドをやっている以上あってはいけないし。じゃあ竜ちゃんも意外といきなり殴っちゃうタイプだからダメだな。さっきまで隣でリーダートークしてたんだからそろそろ戻ってくるのが遅いおかしいなってミヤ君来ないかな。あ、ミヤ君も元ヤンらしいからダメだ。…あーもう面倒くさいから店員さん呼ぼうとドアを開けようとしたらおじさんが腕を掴んできた。俺人生長いからオカマさんにピンヒールで踏まれたり稀有な人生経験はそれなりに持っているつもりだけど、酒臭い普通に見えるサラリーマンにここまで迫られたことが今まであるだろうか。
ここでどこかからすっとんでくる正義のヒーローはいないものかしら。ていうかもう三十代も終わろうとしているのに、こんな面白い展開になっている俺って何。と、そこにドアが開いた。やった!誰だとしても助かった!!!

「正さん、何してるんスか?」

意外な展開!逹瑯君どうにかして!!!



身長もでっかいし、髪型も服装もちょっと怖いから、おじさんはすぐに逃げていきました。ありがとーと思わず抱きついたら、竜ちゃんとミヤくんがちょうどトイレに入ってきてなんだか空気が微妙でした。
「俺、最近めっきりこれフェチなんだよね」
何を取り出すかと思ったら、この突拍子も無い人はカバンから実家にあったものよりは一回り小さな木彫りの熊を取り出した。…え、あ、は?どういうこと?北海道フェチとかそういうこと?それとも熊?ギャハハ明変な顔!と冗談と笑い飛ばしてくれるのを期待したが、俺に向けてくれればいいようなうっとりした表情を、その、木彫りの熊に向けて背を撫でた。その表情と相反するようないかつい顔で荒々しく彫られた熊は、撫でられてもうんともすんとも言わない当たり前だけど。いやいやなんかおかしくねえ?今日エイプリルフールでもなんでもないよね。俺なんか悪いこととか言った?それとも正君が悪いものでも食べた?でも昨日のお昼ごはんから今までずっと同じようなものを食べているけど俺そんな鮭銜えてる熊を愛でるような気持ちにはならないよ。
「明の実家に遊びに行ったじゃん?」
その時に明の実家でこれ見て感動したんだよね、と言われる。どうしてその時その場所でそれを言わないのか。この前のツアー北海道ライブの時にオフを一緒に入れてもらって実家に行った。阿寒湖観光して、死んでしまったと嘆くまりもを一緒に買って(あれ元々生きてないよとはとても言えなかった)、正を実家に泊めるのは家族が面倒くさいので阿寒湖の近くのホテルに泊まった。あ、あまりに当たり前だったから気づかなかったけど、あの木彫り熊ホテルにはさらに大きいものがあったような気がする。
ていうか正直なぜかどこのお宅にも普通に存在するあの木彫りの熊は今更ながら一体何なんだろう。

「ちなみにこれの発祥は2説あってね…」
待って待ってその話長そうなんだけど本当にどうして!?わかんねええええ!やめて豆版もあるんだよなんて3センチくらいの小さいもの出すのも、なんでさっきまで部屋でちょっといい雰囲気だったのにいきなりそういうの出すのも、ていうかそもそもそれどこで買ったの通販!?

そんなもののフェチになるくらいなら、どうぞ俺フェチになってくださいお願いします。あ、ひとんち置いていくな!
スッともしも俺がいなくなったら、みんな気付いてくれるのかなぁ。都会の孤独死なんてことにはなりはしないだろうか。もともとフラフラしてると言われるからひょっとしたら気をきかせた正くんあたりが「京都あたりに旅行かもよ」なんて言ってくれて、見つからないままバンドも活動。「インドあたりに旅行かもよ」ボーカルいないから、代わりに正くん好みの不思議ちゃん女の子ボーカルとか入れちゃって売れちゃって…。なんか思考が暗いなあライブしたいライブしたい。あの瞬間、俺は存在してる気がするんだ。

「あれ、竜ちゃんなんか疲れてない??」

あぁこの人も、俺を存在させてくれる。
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