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801魂の修行中。
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「ケンケンはいい子だよねぇ~」
「おでん」の文字を見つけて入った飲み屋。
既に20回は聞いた言葉の21回目を聞きながら、明はため息をついた。
明日早いと言う竜太朗は、すごい勢いで呑んですごい勢いで正の誕生日を祝ってすごい勢いで帰っていった。ケンケンは明日何もないので帰るかどうか悩んでいたが、相当面倒くさい存在に変貌してしまったリズム隊の先輩を見るに見かねて竜太朗が連れ帰った。そして残る俺。
現在15日23時。

正君せめて水飲んで水、と店員さんに貰ったお冷を出しても、手前にある水のようで水ではないおちょこに口をつける。一見ちゃんとしてるように見えるのがこの人の面倒くさいところだ。もっと酔って寝ちゃうとかごろにゃんしちゃうとか、可愛くなっちゃえばまだ面倒見てやっても良いのに、店員さんがくるとまるでしゃきっとしちゃって「あ、デザート下さい」なんて言いやがる。あんまり食べると気持ち悪くなるだろうに、もっと先に頼んでた俺のチョコレートパフェにかじりついた。しかもケーキみたいな一番美味しい部分。自分のが来るまで待ちなさいよ。


「ケンケンはいい子だよねぇ~」
「どの辺が?」
22回目にいい加減に聞き飽きた俺は、あえてその話題に乗ることにした。
何度も言っていたのに初めて返された話題に、丸い目を更に丸くしてこっちを見た。2秒後、きれいなアーモンドに変わったそれから少し目をそらした。自分のぬるくなったビールに口をつける。まずい。


『一生懸命で頑張り屋でちいさくてまっすぐで若くてかわいくて長崎弁で努力家で』


指折りながら数えて、折り方を間違った正の指はもう10本曲がっていた。だって今日だって明日誕生日ですよね!ってお風呂セットくれたんだよ泡あわになるやつ!あと今度「天使の恋」っていう映画一緒に行きましょうだって。おごってくれるそうだしー。
そりゃーそうね俺だって弟みたいに可愛がってるつもりだけどさ。
ホントいいこ、と満足そうな顔をした正の顔を眺めて、また不味いビールを呑んだ。



「一生懸命で頑張り屋でちいさくてちょっとまっすぐじゃないけど若くもかわいくもないけど努力家なあんたのことが、割と嫌いじゃないんですけど」

だからここ出てどっかでゆっくりしない?
続けた俺に失礼なくらい大笑いした正は、伝票を持ってさっさと立ち上がった。
ちょっと、いくら俺でもそのくらい払いますよ!!!

(ハッピーバースデー!!091116 ひさみ)

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「ねえねえ俺たちさあ、遠距離恋愛できると思う?」


ちょっと離れたところにはスタッフもメンバーもいるってのに、この人は一体何者なんですか今日はデレの日なんですかそうですか。事務所から貰ってきたという紙コップに入った不味そうなコーヒーを啜りながらまるで今日の天気のように呟く金髪に、思わずツッコミを入れてしまうところだった。危ない危ない。吹かれたり吐かれたりしても、それはそれで面倒なものです。俺はさっき事務所の下の自販で買った缶コーヒーをやっぱり同じように啜って、少し呼吸を整えながらチラリと横の人を見た。目が合う。アーモンド型とよく称される目がにっこり笑って今度はさっきより小声で言った。

「出来るかなあ?」

一体何なのこの年になって急に親の都合で引越ししますって訳でもあるまいし(ていうか一人暮らしじゃん!)それとも急にどこか行きたくなっちゃったのそういうのはありぽんにでも任せて旅にでも出させれば良いじゃない、と、言ったら目の前の彼に流石に怒られそうなことを思いながら、少しハラハラしてきた。こっちの気持ちなんてお構いなしにまたも「出来るかなあ」と繰り返した彼の表情に、たかが妄想の域だと知る。なんだ。

そう言われて冷静になった心で、遠距離恋愛とやらを考えてみる。毎日電話したり、今日あったことを報告したり、久しぶりに会って盛り上がったり。そういえば俺今までそういう恋愛したことないな。だってこの人、家族より親兄弟よりよっぽど近くにいつも居て、それがそりゃ十何年も続こうものなら、想像すら出来ないのなんて当たり前なわけで。一般企業でもそうだとは聞くけれど、やっぱりこの業界は何泊も一緒にいることもあるし移動も徹夜もどこまでも一緒にいることは多い。…うーん。

「出来ないかも」

自分で聞いたくせに、そういった俺の言葉にアーモンドが隠れるくらいの笑顔を向けた。あんたがデレなら俺だってデレる日あるんですよ。


「俺と結婚したなかちゃんはギターを弾かなくなっちゃって、神様に怒られて1年に1回しか会えなくなっちゃうとか、結構辛くないー?」

…え、ああ、もしかしなくても今夜は七夕。俺、織姫。おりひ……………。


「ギター、ちゃんと弾きます」


「うっわまた値上げしやがった!」
急にマスクなんて買ったって意味無いって言ってるのに、必死にオークションで
マスクを注文してるなかちゃんを横から眺めるのも飽きた俺は、休憩所に
タバコを吸いに出ることにした。世間を騒がせているインフルエンザの真っ只中
大阪ライブを控えて、事務所からは手洗いうがいが徹底された。

そんなこといわれなくたって子供じゃないんだからと思ったけど、大人だからこそ
うがいなんて最近やってないと気が付いた。タバコに火をつけて息を吸い込んだら、
なんだかタイミング悪くむせてゲホゲホとやっていたら、更にタバコの煙が
変なところに入ってどうにもならなくなってヒイヒイと変な声まで出た。
水が飲みたいけど自動販売機がここのスタジオ外なんだよなあ…あ、まずい。
どうにもならなくて、まだ全然吸ってないのに灰になってしまったタバコを灰皿に捨て、
咳き込みながら外へ出ようとすると真っ青な顔したなかちゃんが立っていた。

「…た………………ただしくん……まさかインフル…」

無性に腹が立ったけどまだむせてて返答が出来ない。首元を掴み、酷い低い声を
どうにか搾り出して言ってやった。

「キスしてうつしてあげようか」

そこ笑うところなのに、その驚いた顔と言ったら!何その顔ちょう変!
と爆笑したらまたむせた。背中撫でてもらったけど。



後日。
どこから調達したのか、真っ黒のマスクやら花柄のマスクやらを
皆に配るなかちゃんに耳打ちされたけど、蹴っ飛ばしてやった。

「マスクしててもちゅーしたくなったら外すから言ってね」

「信じられない何故なの正君!」
「ぶっちの方こそおかしいよ肉はココだって」

俺がこんなキレイに並べてるの見れば分かるでしょあっ後から肉入れるなんて信じられない邪道だ違うよちゃんと列になってどこから食べればいいか分かるようになってたのにそれを崩したのは正君でしょ違うもんいいから早くネギが少ないしそんなことばっかり言って、進まない押し問答に、面倒くさくなって肉を自分の箸でつまんで横からそっと入れた。

「「ちょっと竜太朗!!!!!!」」

ものっそい怒られたあげく、肉食べたいならここからここまでが煮えてるからホラと取り皿に左右から1枚ずつ入れてもらった。まあいいんだけど食べられれば。

久々に皆で鍋をしようとなかちゃんちに集まったんだけど、そういえば渕が入ってから4人ではやってなかったなあと思ってたらまさかの 鍋奉行2人バッティング。
最初は大人しくしていたんだけど、ネギとしいたけのタイミングで勃発した争いはまだ停戦を迎えることなく膝立ちになった2人に俺とアキラと鍋は囲まれることとなった。
「でもさ、俺意外なのはアキラがここに加わらないことだよ」
入れてもらった肉を食べながら言うと(しかし美味い)、ため息をついてアキラはビールを手酌しながら言った。
「船頭、3人いたら宇宙まで行くだろ」


諦めてんの、大体奉行が居なくても美味しく出来ちゃうのが鍋なんですよ、と言うアキラのセリフに聞き捨てならない!じゃあもうアキラはだしでも呑んでろ!!とビールにだしを注がれていました。

めでたしめでたし。

シチュー丼は思ったよりも腹に溜まった。

どういった嫌がらせなのかと思ったが、ふとベタな感じで指先に絆創膏があるのを見て、そういえばそんなに料理得意じゃなかったなとやはり思った。つけていたテレビに夢中でまだ1/3残っている正君のどんぶりを眺めてちょっと幸せを感じる。なんかいいなあ。ケーキ食べる?と声をかけると、ちょっと驚いて振り返って頷いた。

トイレはやめて廊下に置いたケーキを取りに出ると、廊下はものすごく寒くて足の裏から冷えを感じる。箱を手に取って戻ろうとすると後ろからふいに抱きしめられた。


「生まれてきてくれてありがとうあきら」


そんな言葉をもらうと思わなくて、腕時計が小さな音でピっと鳴った。
ああもう12時だったんだ。
仕事もあったのに色々準備してくれてありがとう、こちらこそ生まれてきてくれてありがとう。出会ってくれてありがとう。これからもよろしく、毎年のことなのにちゃんと祝ってくれるあんたが大好きだよ、色んな言葉が溢れてきたが、震える歯に遮られた。寒い。うんすっげー寒い。コートもないのにスキー場に来ちゃったくらい。しかもそのままリフトに乗って途中で止まっちゃったくらい寒い。あの、えっと長谷川さん…あとちょっと部屋に戻るまで2秒待ってくれなかったのもうあああ。


老体に冷えは大敵だって!


強硬手段。
軽い身体を抱きしめて、暖かい部屋に運んでもつれこんだのはまた別のお話。


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HAPPY BIRTHDAY AKIRA!
お幸せに!

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