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801魂の修行中。
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「寒いしさ、もう帰りません?」


聞こえてるのか聞こえてないのか、特に返事も振り向きもないまま少し前を歩き続ける金髪後頭部を眺め、何度目かのため息をつく。人ごみという言葉がピッタリなここは新宿そして今日は12月23日祝日でおめでたいのはなぜかカップル、お前ら今日がなぜお休みで祝日であるか、そして明後日は一体誰の誕生日なのかを考えて出歩けって言うんですよまったく。伊勢丹の1Fをアクセサリー売り場に設定したやつハゲろとぶつぶつ呪いを寒い空気と一緒に吐きながら、人ごみに紛れて見失いそうな金髪を追う。こんな年末に新宿なんてどうかしてる。誘われて2秒で文句を言ったのに、林檎信者な相手は「なかちゃんのばかやろー伊勢丹の息があわさる衝突地点だよ!」と頑なに譲らなかった。アクセサリーが欲しいわけでもあるまいし、クリスマスプレゼントを今更送りあうわけでもないし、クリスマスデートなら家でいいじゃん何が目的だっての。駅を出たあたりではのんびり話しながら歩いていたが、段々並んで歩くのすら困難になってため息をついたあたりから、後ろを振り向かなくなった長谷川正。

せめて買い物の目的を教えて欲しいし、出来ればちょっと休憩に甘いものでも食べさせて欲しい。血糖値下がってきたし!捕獲すべく混雑の人並みをかきわける。気づいたわけでもないのに更に足を速める目標物に少しいらつく。少し早足になった瞬間、目の前に金髪がつっこんできた。どうやらカップルのでっかい彼氏にぶつかられたご様子。思わず縮まった距離に気まずそうな正を見て、ここを逃したらと手をつかんだ。いい加減にしてくださいよ。どうせ見えないんだからと人ごみに乗じて指を絡めてやる。人波に乗って歩きながら、他のいちゃついているおめでたいカップルと同じように後ろから抱きしめるようにすると、少しだけゆっくり歩くようになった。

「離してよ」

小声のお小言を聞こえなかったふりをしてそのまま歩き続ける。すっかり大人しくなった動物を撫でるような気持ちで、同じような小声で言った。

「なんで急に新宿とか言ったの」


無視を決めこむ正の冷え切って真っ赤な耳に思い切って言う。

「しかもこんな混雑したクリスマスに」


またしても振り返りもしない、繋いだ手に変化すらない目の前の人。でも正解だ間違いはない。


「クリスマスプレゼント買ってあげるから、帰ろ?」

そっとほんのり体重をかけてきた正を抱きしめるようにすると、ようやくこっちを見る。冷えた紫色の唇が動いた。え…?



「…人ごみに酔って気持ち悪……………」


あんたばかじゃないの!!!!!!!!???????
こればっかりは小声では済まなかった俺。メリークリスマス。

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「あーお腹いっぱい!」
もう何なのこの人ホントだれかどうにかして!
クリスマスイブイブに大混雑新宿に無理矢理やってきたくせに、人ごみに酔って気持ち悪いとか、とりあえず休憩と入ったお店でお水飲んだら治っちゃってコーヒーケーキセット頼んじゃうとか、意味分かりません!朝から水分取ってなかったや、じゃないし!

数々のお小言と暴言が脳内ミックスされた俺だったが言いたいことが多すぎて口を開けたまま何も言葉にならなかった。苦し紛れにショコラとチーズケーキのコラボを堪能することにしたら、目の前の金髪がひょっとチーズケーキをひとかけ掠め取っていった。てめ。
俺、新しいコートが欲しいんだよね。俺のケーキをもぐもぐ租借しながら独り言か俺へのおねだりか分からないつぶやきが聞こえた。無視してやろうかと思ったけれどクリスマスもどうせリハだし、そういえば今までクリスマスプレゼントなんてあげたこともなかったから、冬の街に漂う幸せオーラにあてられた気分で買ってあげたって構わないぜ俺素敵!

再び人ごみの中に戻るが、今度はきちんと並んでくっついて歩いた。もう手は繋がせてくれなかったけど、お互いに居場所を確認するように人との間をすり抜けるとなんてことはない。安全安心。渋谷の店舗は良く行くんだけど、という俺とはちょっと傾向と対策が違うお店に到着する。メンズのお店だってのに、店内にはちらりほらりとカップルや女性の姿があって、あぁそうか今日プレゼント買ったりするのね世の中はと気づく。音楽に没頭するのはいいけど、こういう日常を案外見逃しているもんだなぁなんて思う自分は気づいたら相当年食ったもんで、まぁ目の前の同い年もそりゃ年を取るよねなんて洋服をうきうき眺めている正を盗み見る。行きつけかと思うように店員さんと仲良く話しをする姿を見て、なぜか急にクリスマスデートってやつかこれ!?と心臓がはねた。新宿待ち合わせして、ケーキ食べて、ショッピングして…王道!王道ですよこれ!と思ったら、まるで中学生のようにうきうきしてきた。今夜はちょっと素敵なレストランなんかで正の好きなワインでも飲みながらディナーをして、おうちに帰ってもいいしどこかホテル行っちゃってもいいし、ほらあれだほら!なんだかだって、久しぶりだもん!!

「なかちゃん!」

最高潮に盛り上がっていたクライマックスを遮る様に腰の辺りを叩かれた。聞いてなかったでしょ!あ、はいすみません全くもって聞いていませんでした。何かと覗き込めば見知らぬ黒いコートを着た正が目の前に居た。これと灰色どっちがいいと思う?と、まるでデートの続きを促されて良かった俺のクライマックスはまだ続いていたんだと安心する。あなた黒のコート持ってたんじゃないの、とかそれっぽいことを言ってやったらそうだよねぇなんて店員さんのところへひょいっと戻って行った。笑顔が気持ち悪くだだ漏れそうで口元をマフラーで隠す俺気持ち悪い。会計をするところで登場して「クリスマスプレゼントで買ってやるよ」と完璧なシチュエーションで言ったのに

「え、いいよなかちゃんこそ自分の服買いなよ」

違うだろそこはそうだとしても、じゃあ次はなかちゃんの服選んで俺が買ってあげるねでしょー!!!!俺が夢を見がちなのか、普段夢見がちな長谷川さんがおかしいのか分からなくなってきた。
なかちゃんも買うならどこか見る?と言われたものの、滅多に新宿なんて来ない俺には行く店も分からないので丁寧にお断りした。夕方もいい時間。めしでも、なんてディナーにお誘いして、うっかり空いてたホテルの見晴らしの良いレストランでワインを傾けながら1年を振り返ったりしてちょっとほろ酔いになった長谷川さんをタクシーで家に送りつつ、いやむしろそのまま空いているホテルの部屋でなんてのも悪くない俺お金持ってたっけいやいいこの際カードだって乱用してやる俺はクリスマスを堪能する!!


「ただしくん、めしでもぴぴぴぴぴぴ」

素敵な流れを分断するように流れる電子音にずっこけそうになりながら、気を取り直して相手を見ると「あーりゅうちゃんだー」じゃねえええええよ!!一世一代の大告白を邪魔されたような気持ちになりながら電話に出る正を見てると、さっきの服屋の話やら今日はクリスマスイブイブだって話しやらどーでもいいこと(俺的には)ばかりを話す。早く終わりにしませんかね…。じゃあまた、と電話を切った瞬間ご飯に誘う。逃さない、俺。ただしくんめしでも、ああいいねいいねー、じゃあどっかふたりでさぁ、え?
「ホラ、たまにはふたりでクリスマスディナーでも、とか…」
「あ、ひどいもしかして忘れてる!?」
「…え?」
「“新宿の”ドナドナ発売記念握手会に行ってる可愛い弟分たちを!」


…すっかりめっきり記憶にすらありませんでした。
くどくど長々怒られた後は仕事終わりの竜太朗とけんちゃんと合流し、素敵なクリスマスを過ごしました。ケーキも食べた。うん、甘くて美味しかった。ホント美味しかったよ。
おまえらも良い夢見ろよ!メリークリスマス!!!

冬でひび割れのCMみたいにパックリ割れてしまったので包帯…。



まさかの春日に母親が喜んでた…



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