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801魂の修行中。
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何だかんだで毎年誕生日にライブが入っていた俺は、久しぶりのオフ誕生日に
少し浮かれていた。のに。

マメな性格の明だから、前日から泊まりに来ちゃったりするかななんて思っていたら、その日は飲み会があるからゴメンと言われた。
俺を優先させないわけですかとは思ったけど、何年もの付き合いで当日なら兎も角前日に来ない恋人を責める自分なんてお寒い気がして、しょうがないと納得した。当日はちゃんとお祝いしますから、と笑った明の顔の口元を見て、もうこの顔を見つづけて何年かと思った。変わらない関係の自分も彼も、相当気が長いのか。何につけても不安に思っていた頃とも違って「夫婦になると情になる」状態の最近は大概のことが許せるようになった、なんてまた寒いことを考えるのはまた年を取るからだ。ちょうど3ヶ月離れてるんだから、真ん中で12月16日に一緒に祝ったことがあったなあ。2年くらい前のような気がするが、もうちょっと考えたら5年は前のような気がした。
一人の部屋で再生していたCDが止まって、ふと静寂が訪れる。
気を使ってくれたのか、一緒に夕飯を食べに行った友人はこの後予定あるんだとかで22時頃早々に退散して下さった。普段夜中に飲んでいることが多い自分は、あいてしまったこんな時間に何をしたものかと考え、少し飲み足りなかったので
コンビニに寄った。他より50円は高いビールを片手に、ふとデザートコーナーに目が止まり、明日また明が買ってくるかどこかで食べる気がしたが、2個セットのショートケーキもカゴに入れた。
暇があれば曲を作る癖に流されても良かったが、今日明日くらいのんびりしようと借りていたDVDを再生した。雑誌片手に見ていたがあまり面白くない気がして消した。
なんだか集中できない。
今更、こんな気持ちになるなんて。
かわいいじゃん俺と少し客観視して、ベッドの上を離れた。冷蔵庫からもう1本あったビールに手を伸ばし、ついでに1個で十分だと思ったケーキも手に取った。2つも食べたら明日はいらない気もするがまあいいだろう。
部屋の時計が言うには、時間は0時回るところ。
ひとりで部屋でケーキ食べながら、0時になるタイミングを見ちゃうなんて何これと心の底から絶望しながら、ローソクさしてお祝いしてやろうかと思った。どうせ寂しいならカウントダウンしてやる。
10秒前。
9
8
7
6
5
4
ジャストに明が駆け込んできたらいいのにな、なんて思って酔った身体で必死に走る明を思い描いて笑った。無理無理。
3
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1
カチリと針が動く音まで聴いてしまったかわいそうな俺。明は来ないし、間に合わなかった。当たり前だ今夜明は、来ない。
マメな友達から早速メールが届く。返さないことが多いのに、律儀に返信してやった。内容が入ってこないDVDをさっきの続きから再生して、ビール2本(しかも500ml)をあけたら少し頭がふわっとしてくる。もう寝ようと思った。明日の約束もしていないが、どうせ昼前にでも電話かけてくるんだろう。うん、それでいいや。
もう寒いので、ベッドにダイブで寝てはいけないとどうにか掛け布団にもぐりこんだ時に、自分の服がまだパジャマではなかったことに気づいたがもうそれもどうでも良かった。

明日、いや今日はすっごく高いものでもおごってもらおう。
 



「たっだしくーん!!!!!」

あまりの大きな声に、飛び起きた。
耳と近すぎる音に心臓がどきどきしている。なにこれなにこれ俺どうしたの。状況が把握出来ず、急に起きた反動で少しくらくらする。
目の前には、明。
「…?」
あ、うん明だ間違いなく。えーっとそうそうそうか今日は俺の誕生日で、祝いに来てくれたんだ。今日はどこに出かけようか。ていうか電話もなくいきなり目の前にいるなんて、まさか俺電話で全然起きなかったの?ごめんねと、枕もとにあった携帯を手に取る。昼の空気に違和感を感じる。ひらいて時間を見ると。

11/16 4:12

…え、夕方?俺誕生日を既に終わる時間に起床?勿体無いどころじゃない折角のオフだっていうのになにそれ大体明が起こしてくれないから悪いんじゃんああ君も朝まで呑んでたからどうせ寝過ごしたわけね最低だよ俺の誕生日にだから昨日なんだか知らないそんな飲み会断って俺を祝えばよかったのに!なんか言ってやろうと思って画面から目の前の明に顔を戻すと、急にぎゅっと抱きしめられた。な、なにそれ許してもらおうなんて上手くいかないんだからね!と振りほどいて
やろうと思ったら、更にぎゅうぎゅうと抱きしめられる。痛いくらいの抱擁に心底驚きながら、2点にふと気づく。
1、酒くさい
2、外暗い
もしやもしやと、壁の時計を見る。あ、ダメだこれアナログ時計じゃん。明の腕を掻い潜って携帯を手に取ると。4:18。朝って言うか、夜って言うか、とりあえず寝る時間。おそらく飲み会そのままうちにきた明。
とりあえず放して、と言うと少しだけ腕が緩んだので、そのまま引き剥がして正面から向き合うと、普段の2割増の垂れ目。久しぶりに飲んでるなこりゃと諦めて急にどうしたのかと問うと、壁に俺を押し付けて酒くさい口を押し付けてきた。打上げでもこっちが腹立つくらい呑まない彼にしては珍しい泥酔に、こっちはたかがビール2本の素面でたちうちできない。は、と息をついた瞬間、酒気帯びのベロがこんにちはしたのでそこからアルコールを摂取するかのように絡めてやった。寝起きの暖かい身体だっていうのに、ぶしつけにしかも首を突然冷たい手で触れられて、思わず仰け反って壁にしたたかに頭をぶつけた。ホントに痛かったのに、明は少し笑って俺の頭を抱え込んでハッピーバースデーを歌いだした。何だこれ俺こんな明見たことない。酔ったところは見たことあるけどそういう場合大体俺も酔っているから、こんな風になったことない。まるで赤ん坊をあやすように、身体をゆっくり揺らしながら誕生日おめでとうと繰り返す明が少し可愛く見えてきた。

「ただしくーんおめでとー」
「うんうんありがとー」
「ホントおめでとー」
「ありがとー」
「もう誰かに祝われちゃったー?」
「明が遅いから、メール貰っちゃったよ」
「そうだよねホントごめんねー」
「いいよいいよでもなんでいきなり明け方なの」
「急に会いたくなっちゃって」
「なにそれ付き合い始めみたいな」

笑う俺とは対照的に、憤然と明は何年付き合ったって俺はいつでも会いたいって、聞いたこともない事を言い出した。普段、大事なことを大事な場面でさえ口に出さない彼の発言に、思わず顔が熱くなるのを感じる。良かっただっこされてる体勢で。顔が見えない。

「明、俺に会いたかったの?」
「会いたかったー」
「なんで?」
「そりゃー誕生日だしー」
「なんで?」
「誕生日だから」
「それだけ?」
何か意図を感じ取って黙った明の顔を正面から見据えたら、普段はそらすだろうに鼻の頭にキスされた。

「好きだからに決まってる、でしょ!」

あーなにこの酔っ払い最高!酔ってたっていいや、嬉しいものは嬉しいわけです。


翌日、部屋のテーブルにビール空き缶と少し残っていたコンビニケーキを絶望に満ちた顔で見て、もう二度と正君の誕生日前後1週間に飲み会は入れないからねごめんねと力説されました。別にいいよって言ったら、俺がイヤなのよどうしてあんたはわかんないのとお説教が待ってました。誕生日なのに。


さて、今日はどこへ出かけて何をおごってもらおうか!

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